フィリピンの教育事情について調査せよ|フィリピン教育省(DepEd)に潜入してみた[フィリピン留学新聞19]

最終更新日 2019年07月03日 by Actilabo

こんにちは、Acti-LABO インターン生のTakaです。

今回は「フィリピンの教育事情」について調査すべく、
なんと教育省に潜入!!
 インタビューを行ってきましたのでご紹介させて頂きます。
 
 

突然ですが皆様、日本の大学の年間授業料が実際どれくらいかかっているかってご存じですか?

文部科学省によると、公立大学の授業料は約50万円、私立大学では約100万円とのこと。
 
 
しかし、フィリピンではなんと小学生から〜大学まで授業料がなんと無料なんです!!(公立校に限る)

私はこれを知ったのをきっかけにフィリピンの教育事情について興味を持ち始め、情報収集を開始しました。
調べていくとなんと当校近辺に

フィリピン教育省【通称DepEd (Department of Education)】

の支部があるとのこと。

そんな話をホストファミリーのお母さんにしてみたところ。

私: Do you know where DepEd is in this area?
−このエリアのDepEdってどこにあるの?

お母さん:I’m working there hehe.
−私そこで働いてるよ(笑)

偶然にしては出来すぎた話なんですが実際にこのようなやり取りが行われてまして、このチャンスは逃すまいと奥さんに頼み込んで、一緒に連れて行ってもらいました!!
 
 
 

目次

1. フィリピン教育省DepEdの取り組みとは?
2. DepEd ネグロス島シライ支部 に行ってみた
3. 教育省で働く人にインタビュー!
4. まとめ
 
 
フィールドワークでフィリピンの現地事情について調査!

実は陽気では全くない!? フィリピン人のパーソナリティーを調査せよ![フィリピン留学新聞9]

1. フィリピン教育省DepEdの取り組みとは?

DepEd
 
先述の通り、DepEdとは’’Department of Education’’ の略で教育省のことを指します。ロゴがなんかお洒落で格好良い!!

日本でいうところの文部科学省に当たる国の組織です。

基礎教育の管理、監督、および規制を行う責任を主に担っており、首都マニラに本部を、フィリピン国内に多くの支部を敷きながら各エリアに根ざした教育システムの構築に取り組んでいます。
 
 
近年フィリピンでは、この教育省を中心として抜本的な教育改革が行われております。
それが、教育改革“K-12”と呼ばれるものです。
 
 
K-12
教育改革”K-12″とは?
 
一言でいうと
「K (幼稚園)+12(小6-中4-高2)の13年間を基礎教育期間として、無償で学校教育を提供すること。」(2012年より実施)

今まで学校教育というと、幼稚園を別としても、6-4制(初等教育6年+中等教育4年)を採用していたため、日本でいうところの”高校”というものが存在しておりませんでした。K−12実施後は日本と同じ基礎教育期間が敷かれております。

●K-12実施前:小学校6年間+中学4年間=10年で卒業。

●K−12実施後:小学校6年間+中学4年間+高校2年間=12年で卒業。
 
 
2012年当時、この基礎教育10年制を行っていたのはアジアでは唯一フィリピンだけで、それも相まって学力レベルの低下を指摘されていました。
そしてこのような教育改革に踏み切ったということです。
 

K−12について簡潔にまとめられている映像がありましたので、
参考までにどうぞ。使用言語は英語なので学習も兼ねて是非。
 
 

2. DepEd ネグロス島シライ支部 に行ってみた!

DepEdネグロス島シライ支部

到着しました!立派な門構えですね。
このような支部は各エリアに配置されているとのことでした。
 
なにやら組織図ではschool and learning center というところに当たるそうです。

DepEd
その中でもさらに部署は分かれているのですが、
今回はホストファミリーの働くLRMDS(Learning Resource Management and Development System )という部署にお邪魔しました。

掲げるMissionは
「各エリアに根ざした学習教材利用の機会を創出し、先生の指導と学生の学びを支援する」

主な仕事はこんな感じ。
 
 
① 様々な教科における学習素材の作成
→基本的に公立校には政府によって作成された教科書が無償で配布されます。

+α教育の質を向上させるため、教師や校正のプロフェッショナルとコミュニケーションを取りながら各教科の学習素材を作成していきます。

フィリピン国内では「方言」のレベルを超えて、全く別の言語と言っていいほど語彙が異なる言語が多く存在しています。タガログ、イロンゴ、セブアノなどなど。

基本的にフィリピン政府から配られる教科書にはタガログ語が記載されているため、各エリアの言語に合わせた学習教材を提供する役割もLRDMCが担っています。

そして、作成され検閲が完了したものはlearning resource portalというポータブルサイトに挙げられ全ての先生,生徒が閲覧、ダウンロードできるようになっております。
 
ポータブルサイト
 
 
 
② 本や教科書の各学校への貸し出し
小学校から高校まで各年次別に学習教材が保管されています。

頻繁に各公立学校の先生が出入りしており、授業で使うための教材や生徒たちのための絵本等まで幅広く貸し出されています。

時には働いている職員や各エリアの先生から本の寄付を募っているとのことでした。オフィスの中はこんな感じです。
 
depEdオフィス

私が訪問していた際にも、何校かの先生がこちらのオフィスを訪れ 学習教材の貸し出し手続きを行っている最中でした。話を聞いてみると

私)What kind of books do you borrow??
—どんな本を借りに来たの?

先生)I came here to borrow this book because one of my students is very fun of this!! Here it is!!
−この本を借りに来たのよ、ある生徒がめちゃめちゃ好きでねこの本が。あってよかった!!

と、とびっきりの笑顔で話してくれました。
 
 
なんて生徒想いな先生なんだと。
わざわざ一人の生徒のために本を借りに来たと。
先生をされている方からするとなんのこっちゃ無いことなのかもしれませんが、私自身は先生の偉大さを感じまくってました。
 
 
 
③ 市内の学校の図書室の管理

depEdオフィス2

定期的に各学校内の図書館を訪れ、図書館司書や先生とコミュニケーションをとりながら不足している教材や本を確認したり、逆にこういった本を置きましょうと言ったアドバイスも行ったりしています。

密なコミュニケーションを取ることで共にニーズを探っていくとのことでした。
 
 
市内で小中高含め40校ほどの公立校があるとのことで結構地道な作業ですが、新たな学習教材を作成する際に必要不可欠な業務とのことです。

日本のように各エリアに大きな図書館があるわけでも無いフィリピンでは、

各校に設置されている図書室の管理は学生に本に触れてもらう機会を与えるという意味において大きな役割を担っているのでしょう。

僕自身も高校生時代は図書委員会に所属しており、図書室の司書のおばちゃんとは大の仲良しでした。協力して「貴方が読みたい本を教えて下さい」といったアンケートBOX設置し、何冊かを購入したり他の公立校から取り寄せたりしたのを覚えています。
 
 
 

3. 教育省で働く人にインタビュー!

depEdのジェリーさん

今回お邪魔した部署のボス。ジェリーさんです。
お仕事の最中にも関わらず快くインタビューに応じてくださいました。

大学時代は2転3転ありながらもlibrary science という図書館司書を目指すための学科で学び、卒業後は約20年間私立高校で司書として勤めた後にこちらに転職してきたとのことでした。
 
 
いくつか事前に考えてきた質問をしてみました。

まず一つ目!
「仕事におけるモチベーションは何ですか?」

「フィリピンの学生に”Good leader “かつ”Good Reader” になって欲しい!!」

この強い信念がジェリーさんの仕事に対する一番のモチベーションになっているとのことでした。それは彼自身がこれまで培ってきた経験によるものでした。
 

高校生の頃までは図書館とは縁がなく本を読む機会が少なかったそうです。

しかし、大学生になると本に触れる機会も増え実際に図書館司書として働き始めるとすぐに本の世界にのめり込まれました。

彼自身が本を通じて多くのことを学んだと同時に、これまで英語をほとんど話すことができなかったにも関わらず「英語の本と触れ合うことでこのように英語を話せるようになった。」と胸を張って話されていました。
 

事実英語はもちろんペラペラで、「君も英語を勉強したいなら英語の本をたくさん読みなさい」とインタビュー中に少なく見積もっても10回は仰って下さいました笑。

こういった自身の素晴らしい現体験があるからこそ、「これからの将来を担う学生たちのためにも学習教材や本に触れる機会をもっと増やしていきたい。」そう話していました。その想いが彼を動かす原動力になっているとのことでした。
 
 

2つ目、
「仕事で大変だなと感じる場面はありますか?」

まず一番最初にお話しされたのが、
「上司との付き合い方」

これに関してはどこの国においても共通することなんですね(笑)
すごく厳しい方だそうで、話し出したらキリが無いから話さないけど、大変なんだと仰っていました。
 

後は
「部署に割り当てられた予算の問題。」

この割り当て予算の問題で上司とよく揉めるみたいです。
仕事への情熱を絶やさず持たれているジェリーさんは上司に「俺はこうしたいんだ!!」と進言されるそうですが、予算外だから無理だと突き返され、それでも諦めきれ無い場合は自分のポケットマネーから予算を通したりすることもあるそうです。
 
 
自分の仕事に誇りを持ち、熱い気持ちを忘れずに教育に向き合う彼は

「I think this is not my work anymore, this is my purpose of my life」
-私はこれは仕事だとは思っていない、私にとって生き甲斐なんだよ。
 
 

めちゃめちゃ格好良い・・・。

僕も彼のように情熱を注げる仕事を見つけたいと強く感じた、貴重な時間になりました。

またいつでも来てくれと最後は一緒にお写真まで取って頂きました。
ありがとうジェリーさん。また近いうち本当に伺います!
 
 
 

4. まとめ

DepEdにてインタビュー

当校の授業内容の一環である今回のフィールドワークでは、フィリピンの教育の表舞台で輝く先生方、裏で教育システムを支えるDepEd職員にお話を伺うことができました。

教育省が音頭をとって抜本的な教育改革に乗り出しているフィリピン。
それが実際に国民にはどのように浸透しているのか。
 

今後は子供を持つ親御さんに「子供の教育に対する考え」みたいなものを聞いてみたいですね!

こういった形で、新たな疑問や発見が絶えないフィールドワーク。
校内で座って授業を受けているだけでは決して得られない刺激を得ることができるのがこの授業の魅力。初めてのフィールドワークだったのですがその魅力を身を以て体感することができました。

次回の調査せよの回では生徒さんのフィールドワークに同行いたします。
 
 
乞うご期待
see you next time!!
 
 
 
 
 
 
後悔のないフィリピン留学を!
実践型「机に座らない」英語留学
 

The following two tabs change content below.
アバター画像

Taka

学生時代3ヶ月のフィリピン留学を経験。3年間勤めた大手食品メーカーを休職し、今夏より青年海外協力隊員(JAICA)としてカメルーンに赴任予定。TOIEC915点保持者。 TOIEC900点の取り方・自身の経験からフィリピン留学の学校選び方・TOIEC勉強からスピーキング力アップのさせ方など記事でまとめています。 好きな言葉は「水滴 石を穿つ(うがつ)」 フィリピン留学に関してご質問、ご相談等ございましたらこちらまで。 info.actilabo@gmail.com